Dairy

« 日銀の利上げ見送り | メイン | 経済犯罪の取り締まりにうまくネットが活用できないか »

2007/01/20 土

上場企業と未上場企業の合併

新光証券(上場)とみずほ証券(非上場)、田辺製薬(上場)と三菱ウェルファーマ(非上場)、立て続けにメジャーどころで上場企業と非上場企業の合併が発表されました。

で、両方とも上場企業の方が規模が小さいのですが、そちらを存続企業として合併し上場は維持するそうです。

かつて、未上場企業が手っ取り早く上場企業になる手法として、規模の小さい上場企業を買収し、上場企業を存続会社とすることで上場を維持するという手法が横行したことがありました。いわゆる裏口上場です。裏口上場成功後は、上場株式を用いて株式交換で他社を買収したり、新株を発行して資金調達をしたり。

ま、そんな企業の中で、むちゃくちゃした企業も何社か出てきたので、東証の審査が厳しくなり、最近では明らかな裏口上場は認められなくなり、場合によっては上場廃止になるようになってきました。

さて、上記二つの合併について。上場企業の方が規模が小さいので、新光・みずほの件は東証が審査に入ったそうですが、まあ、両方とも認められることになると思います。今回は、別にこれらを裏口上場だと糾弾するつもりは特になく、それよりも、企業のグループ経営戦略における子会社上場について、考えてみたいと思います。

特に分かりやすいのは三菱ウェルファーマですが、元々はいろんな製薬会社が合併を繰り返して今の形態になっていますが、株式は三菱ケミカルが100%保有しています。以前はバラバラに存在していた三菱化学と三菱系の製薬会社などを全部三菱ケミカルという持株会社の傘下に収めて、三菱ケミカルだけが上場しているという状態にしました。まあ、すっきりしますよね。

つい数日前の日経新聞にも、イトーヨーカ堂が、以前は子会社上場をしていたセブンイレブンやロイヤルホストなどを100%子会社化して、グループを全部1つの傘下に収めた後の株価推移の特集記事をやっていましたが、株式市場からは全部が1つの傘下に収まると「いろんな事業を抱え込みすぎて、一体、なんの事業をやっている会社と判断すればいいのよ?」ということで、評価しにくくなるという側面は確かにありますが、いろんな事業間でのシナジーを創出するにはやはり、1つの傘の下にあった方がいいでしょう。また、子会社が無駄に上場していると、シナジーで創出した価値が外部株主に漏れていってしまいますのでもったいない。よって、全部を1つの傘下に収める&100%の株式を保有し、傘だけが上場というのは、それはそれで説得力あります。

さて、三菱ケミカルも、紆余曲折を経てそういう1つの傘状態を作り出した結果だったわけですが、ここに来て田辺製薬と傘下の三菱ウェルファーマが合併することにより、また1つ子会社が中途半端に上場することになります。果たして、これは企業のグループ経営という観点からはいいのだろうか、どうだろうか、と思ったのが今回です。

考え方はいくつかあると思います。

まずは、田辺と合併して上場しておくのは、あくまでも過渡期としての措置であり、最終的にはケミカルの100%子会社とし、上場廃止に持っていく。まあ、これが最も可能性の高いシナリオなんだろうなと思ってはいますが、それが最終シナリオであるなら、今の時点でその措置を取った方がロスは少ないはず。にもかかわらず、その措置を今取らないのは、やはり田辺に対する配慮なのか。まあ、今すぐに新生三菱田辺を三菱ケミカルの100%子会社化しようとすると、田辺製薬の株主は株式交換で三菱ケミカルの株式を受け取ることになり、製薬会社の株を希望して田辺株式を購入していた田辺の株主にとっては、突然ケミカルの株式と交換されてもあまりうれしくないでしょうから、すぐにそういう措置を取るのではなく、移行期間としてとりあえずは三菱田辺製薬を上場させておき、既存株主に市場で株式を売却するなりの猶予を与えるんでしょうね。

もう1つの考え方は、ケミカル傘下に製薬会社がいてもあまりシナジーもないので、製薬会社はケミカルの外に出してもよい、つまり、広義の意味で売却しても構わないので、田辺との合併は、田辺を取り込むというよりも、合併させることで三菱ウェルファーマを外出ししたとも言えるという考え。

で、もう1つのシナリオは、三菱ケミカルは何もグループ経営戦略を考えておらず、なんとなくこの新生製薬会社をとりあえず上場させておこうと考えているケース。

新光・みずほ、田辺・三菱ともに中途半端な上場維持ではなく、完全子会社化がいいと思うのですがね。子会社上場は、理論的にはあくまで売却プロセスの一環でしかありませんから。

  このエントリーを含むはてなブックマーク

コメント

いつも楽しく拝見しています。上場維持の件といい4種の神器の件といい、かつての道修町御三家・田辺五兵衛商店からの伝統に対する大阪薬業界ならではの配慮と見受けられます。日系製薬同士のM&Aというよりは、むしろロシュ−中外型のディールに類似した展開を三菱サイドは期待しているのではないでしょうか。

Posted by: Sengoku : at 2007年02月04日 08:07

>大阪薬業界ならではの配慮

なるほど、きっとそうでしょうね。
確かに製薬業界のM&Aは、独特ですよね。まだ今後もいくつか出てくるでしょうから、楽しみですね。

Posted by: ちょう : at 2007年02月14日 21:40

コメントを投稿する

名前:

メールアドレス(任意、非公開):

URL(任意、お名前にURL先をリンクします):

この情報を登録する

コメント:

迷惑コメント防止のため、お手数ですが、下の画像の文字を入力してください

   *迷惑コメント防止のため、コメント反映まで少しお時間をいただきますが、明らかな迷惑コメント以外はすべて掲載させていただきます。

  

トラックバック

このページのトラックバックURL:

このページへのトラックバック一覧:

Search

Profile

AMN sponsor rolls

Comment

TV・Radio・Column

Books

Entry

Category

Calender

Archives

PAGE TOP