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2006/10/31 火
北朝鮮戦略:スティールの明星食品へのTOB
スティールパートナーズが明星食品へTOBを仕掛けました。が、真剣にTOB成功を目指しているとはちょっと思えないです…。
夕刊フジの取材を受けて、思っていたことは大体話してしまい内容はこちらに書いてありますが、今回のTOB価格は700円。過去1ヶ月の明星食品の平均株価に対して14.6%のプレミアムとのこと。
通常はTOBのプレミアムは30%ぐらいが平均です。それに比べると14.6%のプレミアムは決して高くはありません。したがって、それぐらいのプレミアムで株主がTOBに応じるかどうか疑問。実際今日の終値ベースの株価は739円と700円を上回っており、これならTOBに応じるよりも市場で売却した方がお得。
で、思うに、スティールはこのTOB、はなから成功させる意図はゼロなんじゃないかと。スティールはすでに同社の株式を23.1%持っており、ずっとMBOを提案していたそうですが、それが全然経営陣に聞き入れられなかったそうで。
経営陣を振り向かせるには、そして経営陣を無理やりにでも対話のテーブルにつかせるには、ちょっと爆弾落としましょ、そんな感覚で行ったのが今回のTOBではないかと思います。北朝鮮がミサイルを発射したり、原爆実験をして威嚇をしているのと同じような気がします。
もちろんスティールにしてみると700円でTOBに応じる株主がたくさん出てきて、万が一過半数とか取れちゃった日にはそれはそれで儲けもの。そのままLBOをして、明星食品を買収し、何年か後で再上場をして儲ければいいわけですので。
でも、実際に思い描くベストシナリオは、明星食品の経営陣が「このままスティールに買収されては困るし、他の企業が買収に名乗りを上げても困る。ならば、やっぱ自分たちでMBOをするか」と言って、スティールに対抗する形でTOBをかけてMBOを目指すこと。
つまり、経営陣がスティールのTOB価格の700円よりも高い価格(例えば一株710円とか)で対抗TOBを行い、MBOをする。その対抗TOBにスティールは「応じてあげる」。つまり、株式を売ってあげる。その見返りとしては、MBO後の株主として再度迎え入れてもらう、みたいな流れです。現時点で経営陣による対抗TOBに応じておくと、スティールとしては一旦益出しが可能。その後再度MBO後の株主になると、また数年後に明星食品が再上場するときにも利益を稼ぐことが可能と、2度美味しいわけです。
明星食品にとっての最大の防衛作は無策。14.6%のプレミアムでは誰もTOBに応じないだろうと傍観するのが一番でしょう。スティールはいつかは持分を売却する必要があり、今、わざわざ経営陣がホワイトナイトを呼んできたり自分たちでMBOをすると、スティールにまんまと売り抜ける手法を提供しているようなものです。下手に動くと北朝鮮、あ、いや、スティールの思う壺なわけです。
でも、それだと今回は凌げたとしても、引き続き北朝鮮、いや、スティールが株主として君臨することには変わらず。ではそのスティールにいかに儲けさせずに影響力を排除していくか、ということですが、それはどこか他の企業とプレミアムゼロの「対等合併」を繰り返すことかもしれません。
久しぶりにM&Aネタのエントリーでした。。どうしてMBO後の株主になるとファンドが儲かるのかについてももう少し触れたいところですが、ちょうど数日中に日経ビジネスオンラインのコラムでMBOの解説記事がアップされるので、詳しくはそちらが出てからということで。
コメント
興味深いです。
偶然にも今日、北朝鮮が6者協議への復帰を中国に伝えたようです。日本を含む他の5カ国が「思う壺」にならなかったからでしょうね(笑)。
オリジンの件は、結局の勝者=儲かった人とするならばドンキだよな。しかも資本参加の目的としていた事業提携も継続する条件を守ってるし。
スティールは、来年あたりのExitを狙ったホワイトナイトを誘ってる第1手のように見える。現段階でマーケットがTOB価格を突き抜けているのはある意味成功だろうね。投資ファンドの目的は経営権を握ることは手段であって目的ではないということですな。今後が楽しみです。
>投資ファンドの目的は経営権を握ることは手段であって目的
そうですね、村上ファンドが阪神の経営権を握ったらどうするのか見てみたかったのですが、そういう前例はまだないですものね。今後が面白いと思います。
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